ポルシェが初のフル電動SUV「カイエン・エレクトリック」の全貌を公開
NEWS | 06 December 2025
いま、ポルシェはヒット作を必要としている。2025年の最初の9カ月間で、ポルシェの営業利益は前年同期比で99%も急落した。そう、99%だ。これまで数十億ドルの利益を上げてきた実績を持つ大手自動車ブランドが、利益を大幅に減らしたのである。 ポルシェの不振の原因は、誰の目から見ても明らかだろう。莫大な費用をかけて製品戦略を転換し、電気自動車(EV)計画を大幅に縮小したことが一因だ。ポルシェはEV用バッテリーの自社製造プロジェクトを中止し、代わりに新しい内燃機関車とハイブリッド車を開発している。さらに、米国の関税と中国市場の低迷という二重の打撃を受け、このドイツ自動車メーカーは苦境に立たされているのだ。 関連記事:自動車産業の“大清算”が始まる しかし、EUがEVへの移行スケジュールを見直すかどうかにかかわらず、クルマの未来はいずれは内燃機関車ではなく電気自動車となるに違いない。つまり、欧州の自動車メーカーは長期戦略において、電動化技術の実力を示さねばならないということだ。そこで、11月19日に発表されたポルシェの新たな市販モデル「カイエン・エレクトリック」と「カイエン・ターボ・エレクトリック」は重要な意味をもつ。 ポルシェ初のフル電動SUVとなるカイエン。 Courtesy of Porsche Courtesy of Porsche カイエン・エレクトリックの価格は10万9,000ドル(約1,700万円)、ターボ・エレクトリックは16万3,000ドル(約2,550万円)で、ポルシェは同社初のフル電動SUVとなるこのモデルが、発売後6カ月でクルマの価値が半減し、一部のオーナーがマイナス資産に陥ってしまったタイカンよりも、長期的に見て優れたコストパフォーマンスを発揮することを期待している。 この新型電動SUVは、ポルシェ史上最もパワフルな市販モデルであり、そのスペックもそれにふさわしいものとなっている。カイエン・ターボは、時速0から62マイル(約100km/h)まで2.5秒、時速0から124マイル(約200km/h)まで7.4秒で加速し、最高速度は162マイル(約260km/h)に達する。また新しい駆動システムは、ローンチコントロール作動時に最大850kW(1,156PS)のパワーと最大1,500Nmのトルクを発生させる。そして興味深いことに、モータースポーツの革新技術を取り入れたターボモデルは、リアアクスルの電動モーターに直接オイル冷却を施すことで、高い連続出力を実現しているのだ。 カイエン・エレクトリックの「エントリーモデル」は、通常走行時に300kW(408PS)、ローンチコントロール作動時には325kW(442PS)、835Nmのトルクを発生させる。0~62mph(約97km/h)まで4.8秒で加速し、最高速度は143mph(約230km/h)に達する。 カイエン・エレクトリックはエネルギー回生性能も優れており、回生電力は第3世代フォーミュラEレベルに匹敵する最大600kWに達する。また両モデルともリアアクスルステアリングを装備可能となっている。これにより後輪が最大5度まで動くため、急カーブや狭い駐車スペースへの進入が容易になる。 カイエン・エレクトリックは、最大11kW の誘導充電機能を備えた最初のポルシェモデルとなる。 Courtesy of Porsche 電気自動車である以上、バッテリーが鍵となる。これらのカイエンモデルは、新開発の113kWhバッテリーを搭載し、両面冷却により優れた熱管理を実現している。その結果、カイエン・エレクトリックはWLTPモードで最大600km、ターボは最大620kmの航続距離を実現した(WLTPモード航続距離とは、業界標準である世界統一軽自動車試験手順のWorldwide Harmonized Light Vehicles Test Procedureに基づく測定値である)。
Author: Jeremy White.
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