
札幌国際芸術祭(SIAF)2027はまだ見ぬ未来、宇宙につながる創造のプラットフォームになるNEWS | 06 December 2025「札幌国際芸術祭(Sapporo International Art Festival, SIAF)2024」のイニシアティブ・パートナーを務めた『WIRED』日本版は、ポッドキャストシリーズ「SIAF AS A TOOL」で、ディレクターや参加アーティストの思いを伝えてきた。
次のSIAF2027のテーマは「PLANET SNOW(プラネット・スノー)──upas mintar(ウパㇱ ミンタㇻ)/upas nociw(ウパㇱ ノチウ)」。ディレクターチームは、SIAF2024「LAST SNOW」を率いた小川秀明を含む4名体制だ。また、宇宙飛行士の山崎直子がアドバイザーに就任。2年後に向けて、これから何を、どのように仕掛けていくのか? 本記事ではキックオフカンファレンス内で開かれた「未来を実装する企業とつくる、芸術祭の新たな挑戦」と題したセッションを抜粋して紹介する。
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登壇したのは、クリエイティブディレクターの小川秀明、フェスティバルディレクターの細川麻沙美、教育機関との連携やサポーターの育成を担当するスクールディレクターの漆崇博、そして展示構成や企業連携、研究・開発を担当するスタジオディレクターの丸田知明の4名。
フェスティバルディレクターの細川麻沙美。 PHOTO: SIAF
まず細川が、SIAFの10年以上にわたる歩みを振り返った。坂本龍一がゲストディレクターを務めた第1回のSIAF2014、次のゲストディレクターに大友良英を迎えたSIAF2017、コロナ禍の中止を経て開催されたSIAF2024。SIAF2024は初の冬開催となり、ディレクターの小川はテーマに「LAST SNOW」を掲げ、芸術祭そのものを、都市の未来を構想し試行するための「実験場」「創造エンジン」と位置づけた。そして、2027年1〜2月に開催されるSIAF2027へと歩みは続いていく。
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宇宙的視点から問う
SIAF2027のテーマは「PLANET SNOW」。小川は、「SIAF2024のLAST SNOWでは、冬の札幌で当たり前のように足元にある“雪”に着目したのに対し、2027年はその視点を一気に拡げます」と意気込みを語る。「惑星、そしてわたしたち人類そのものに目を向け、人類とは何か、地球とは何か、そして宇宙とは何かという壮大な物語を、この札幌という都市を舞台に展開していきます」
気候変動、紛争、そして急進的なテクノロジーの変容──。「PLANET SNOW」は、そんな時代にアートができること、すなわち「視点を変えること」を核に据える。27年の1月から2月にかけて、札幌は架空の「雪の惑星」になる。その真っ白なキャンバスの上でアーティストや企業、市民がそれぞれの未来を自由に描き、アクションを起こしていく。SIAF2027は、わたしたち自身を、そしてこの世界を、まったく新しい視点から見つめ直す思考実験の舞台になるのだ。
SIAF2027のテーマには「upas mintar(ウパㇱ ミンタㇻ)/upas nociw(ウパㇱ ノチウ)」という、アイヌ語のテーマが併記されている。ウパㇱは雪という意味だ。人々が集い、共に創る場所としての「ミンタㇻ(庭)」と、遠くから訪れる人々を導き、未来の指標となる「ノチウ(星)」といメッセージが込められており、SIAFが目指す「共創の場」と「未来へのビジョニング」という2つの役割を象徴している。Author: Kazuya Sano. Source